「地震が起きたら机の下」で、ほんとうに良いのか
地震時の行動は建築年によって変わる
国土交通省国土技術政策総合研究所などにより取りまとめられ、2016年9月30日に発表された「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」の報告書には、地震時の行動を示唆する興味深い内容が記載されている。結論から言うと、木造建築物は建築時期によって建物被害の程度が大きく左右されるというものである。2016年熊本地震の前震・本震で震度6強~震度7の揺れが観測された益城町、西原村、南阿蘇村の木造建築物1955棟の現地調査・分析結果を見ると、それが顕著に表れている。1981年5月31日以前の「旧耐震基準」で建てられた木造建築物は、全壊・大破合計が45.7%。1981年6月1日~2000年5月31日までの「新耐震基準」で建てられた木造建築物でも全壊・大破が18.4%に上る。しかし、2000年6月1日以降の「2000年基準」で建てられた木造建築は、全壊・大破は6%に過ぎなかった。2000年の主な耐震基準改正点は、「地盤に応じた基礎設計」、「基礎と柱との接合部にの金具取り付け」、「耐力壁のバランスと配置」などが強化された。その有効性が熊本地震で如実に証明されたのである。つまり、耐震性の高い鉄筋コンクリートの学校やマンションであれば「地震! 机の下」でも良いが、木造建築物では建築時期を地震時行動の一つの目安にする方法もある。
参考記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/02ac6017c7bc56c3d24833c27621192906827dd0